沖ノ島(福岡県宗像市)で守られてきた禁忌を研究している米国出身の女性がいる。福岡市に住む九州大訪問研究員のリンジー・デウィットさん(34)だ。宗教や歴史、民俗など多方面から迫れる沖ノ島研究の奥深さに魅了され、外国人の研究者仲間と宗像国際研究会を立ち上げた。「古代の沖ノ島だけでなく、宗像地域の歴史と文化を幅広く考えたい」と、ますます関心を強めている。
デウィットさんは高校生のころから日本文化に興味があり、大学で仏教とジェンダーの関係を研究した。米カリフォルニア大ロサンゼルス校に在学していた10年ほど前、女人結界(女人禁制)を知り、参詣道の一部に女人禁制区域が残る奈良県の大峰山をテーマに博士論文を書いた。「変わった風習と簡単に考えるのではなく、日本の歴史と文化の一部に位置づけた」と振り返る。
2013年に来日。京都の大谷大の研修員を経て、15年に九州大助教となり、沖ノ島研究を始めた。江戸時代の福岡藩の国学者青柳種信による沖ノ島滞在記録「瀛津島(おきつしま)防人(さきもり)日記」をはじめ、宗像大社に関する歴史書で知識を深めた。「防人日記は18世紀のブログみたいで面白い」とデウィットさん。
沖ノ島で続く女人禁制などの禁忌を研究する米国出身のリンジー・デウィット九州大訪問研究員(34)は「禁忌についての賛否はともかく、日本の歴史と文化の一部であることは確か」と指摘。観光への波及効果を期待する声もあるが、「世界遺産の目的は観光ではないことを忘れないでほしい」と語った。